これだけ知ってればあなたも通です。
五千を越える日本酒の銘柄の中から、あれこれと選んで飲み比べてみる、日本 洒ならではの楽しみです。でも実際は、「なにをどう選んだらよいのかわからな い」というのが、実情でしょう。 日本酒は、かつては特級、一級、二級という 級別制度がありましたが、今はその製造方法や原材料によつて分類する「清酒の 製法品質表示基準」による特定名称柄と、広く一般に愛飲されている日本酒があ ります。 おいしいお洒に出会うためにも、まず、その種類と特徴を知っておき ましょう。
- お酒の種類
特定名称酒には三種類があります。清酒の製法品質表示基準 に基づき、所定の用件に該当するものにその名称を表示できます。
- 吟醸酒
精米歩合六十%以下の白米と米こうじ及び水、またはこれらと醸造アルコール を原料として吟味して造ったお酒で、固有の香味及び色沢が良好なものです。
- 純米酒
精米歩合七十%以下の白米と米こうじ及び水だけを原料として造ったお酒で、 香味及び色沢が良好なものです。文字どおり、お米だけで造られたお酒です。
- 本醸造酒
精米歩合七十%以下の白米、米こうじ、醸造アルコール及び水を原料として造 ったお酒で、香味及び色沢が良好なものです。
これら特定名称酒は、原料米、製造方法などの諸条件によつて、さらに八種類 に分割されます。このほかに通常普通酒と呼ばれるお酒があります。
- 味と香り
日本酒の味そして香りの特性から、日本酒を大きく四つのタイプに分類します 。日本酒の味、香りの特性を、香りが高いか低いか、味が若々しいか芳醇かの二 つの軸で区切ることにより、いろいろな日本酒を、次の四つのタイプに分類する ことができます。
- 香りの高いタイプ
このタイプは吟醸酒が代表的で、生酒、本醸造酒にも一部該当するものがあ ります。色調は淡く、果実や花様の上立ち香が高く、軽快で爽やかな味です。香 気成分を多く含み、老ね香成分やアミノ酸が少ないのが特徴です。
- でなめらかなタイプ
このタイプは生酒が代表的です。本醸造酒、純米酒にも該当するものがあり ます。色調は淡く、上立ち香は控えられていますが、新鮮で軽快な含み香と、な めらかでみずみずしい味が特徴です。香気成分は中程度ですが、リンゴ酸などの 有機物を多く含み、アミノ酸、老ね香成分は微少です。
- コクのあるタイプ
このタイプは純米酒が代表的です。本醸造酒にも該当するものがあります。 色調はやや濃く、落ちついた香りとやや重厚な、はどよい苦みを持っています。 乳酸等の有機酸を多く含み、老ね香成分のやや高いものがあります。
- 熟成タイプ
このタイプは古酒が代表的です。一部純米酒にも該当するものがあります。 色調は濃く、シェリーのような香気を持ち、重厚で、はど良い苦みと後味の良さ が特徴です。老ね香成分、有機酸、アミノ酸を多く含みます。(注)古酒=長期 間熟成させたお酒。
このようにして日本酒を、味と香りで四つのタイプに分類することで、日本酒 には、とても幅広い世界があることに気がつかれることでしょう。
- 料理との相性
四タイプに分類したお酒といろいろな料理を組み合わせて飲食する相性テスト を重ねると
- 香りの高いタイプ
魚介類の素材の味を生かした料理に合う。
- 軽快でなめらかなタイプ
赤身の肉より魚介類のような乳酸の少ない素材に適する。また、口中の油脂 類を洗い流す作用がある。
- コクのあるタイプ
アミノ酸含有量の多い料理に適する。
- 熟成タイプ
乳酸の多い肉類、高タンパク質性料理に適する。
など、四つのタイプの日本酒にそれぞれどんな料理がマッチするかがわかり ます。 料理に日本酒を合わせます。「日本料理には日本酒」という固定観念か ら、ライフスタイルや食事の好みの変化に応じて日本酒を選んでみる。和・洋・ 中と、料理に合わせて日本酒を変えてみる、そんな飲み方ができるのも種類の多 い日本酒ならではの楽しみです。四タイプ別分類をヒントにすれば、日本酒の楽 しみ方が、バラエティに広がっていきます。
- 日本酒の味と香りの表現
せっかく選んでみたお酒もただ「おいしい」の一言ですませてしまっては、 日本酒の味わい方は、まだまだ一合目。日本洒にはもっともっと奥の深い味わい の世界があるのです。 日本酒の味や香りを表す首葉は百を越すともいわれます 。ふだん、私たちは、日本酒の味を、甘いとか辛いとかぐらいにしか表現しませ ん。ところが「きき酒」の時には、こく、ごくみ、芳醇な、旨味、まるみ、ふく らみ、のどごし、さばけ、後味、きれい、なめらか、軽い、すっきりした、味の 調和した、なれた、若い、しっかりとした、さらっとした、熟した、すっばい、 渋い、にがいなど、なんと49種類のの言葉で、その味を表現します(日本酒造 組合中央会・官能検査法より)。それが従来からある表現法だとすれば、先に紹 介した「日本酒の四タイプ分類」では、日本酒の香りの特性から香りの系列花、 ハーブ・香草、果実(甘)、果実(酸)、米・穀物、木系、ナッツ、鉱物、菜類 、その他に分類し、それぞれをキメ細かくいい表した新しい表現法を提案してい ます。 これによれば
- 花の系列
梅の花、アカシア、オレンジの花、レンゲ、ユリ、ライラック、すみれ、桜 、白バラ、ラベンダー、金木犀、びゃくだん、さざんか、りんどう、もくれん、 さんざし、水仙、菩提樹、ふじ、山吹、くちなし、菊の北、のような香りハーブ ・香草の系列桜の柴、タイム、レモンバーム、丁字、甘草、青胡椒、シナモン、 ミント、ジユニバーベリー、キヤラウェイ、香水、月桂樹の菜、エストラゴン、 セルフィーユ、バニラ、ニッキ、ナツメグ、前州ー茶、ローズマリー、ユーカリ 、のような香り
- 甘い果実の系列
ライチ、メロン、カリン、リンゴ、びわ、洋梨、バナナ、白桃、黄桃、柵、 マスカット、絃燥イチヂク、マスクメロン、夕張メロン、乾爆バナナ、あけび、 二十世紀梨、マンゴ、マンゴスティン、ぶどう、のような香り
- 酸っぱい果実の系列
レモン、杏、パイナップル、すだち、青リンゴ、チェリー、ラズベリー、イ チゴ、ライム、オレンジ、グレープフルーツ、青梅、キウイ、プラム、のような 香りなどなど、お酒の味を花や果実などに例えて、多彩に表現しています。
いってみれば、新旧味の表現法。こんな表現方法があることを知れば、ただ の「おいしい」から、「このお洒は洋梨の香りがする」などといった、とても繊 細な表現ができるようになれます。
- 温度によつても味わいは変わります。
日本酒は冷やして良し、爛して良し、また常温で良しと、どのよスノな温度 でもおいしく飲める、世界でも珍しいお酒です。ただタイプによつて、それぞれ にふさわしい適温があることもぜひ知っておきましょう。
- 香りの高いタイプ
10〜5度、35〜25度
- 軽快でなめらかなタイプ
15〜5度、35度前後
- コクのあるタイプ
20〜15度、50〜45度
- 熟成タイプ
25〜15度、45〜40度
- お酒の四季
雪月花を愛でる歓びとともに。
四季の変化のはっきりしたこの国では、豊かな自然の風物に恵まれ、そこか ら自然を愛でながらお洒を楽しむという、贅沢な日本人ならではの文化をはぐく んできました。また大陸からもお酒を飲むいろいろな習慣を取り入れました。花 が咲いたといってはお酒を飲み、雪が降ったからといってはお酒を飲み、旬のも のが手に入ればそれでお酒を飲むという、まさに「日本酒歳時記」が誕生しまし た。
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