第4号


お待ちかね毎年恒例の「樽たる倶楽部の東京宴会」宴会の主人公である謎の林 佳恵東京支部長を徹底的に紹介してしまいます。

彼女いわく・・・
    ”笑点暦”(日本テレビ)の表紙のデザイン、
    ブックデザイン(これが本業)、
    エッセイも書き、
    厚顔無恥にも講演もしてしまう(2月16日には魚津市の講演会に来 県)、
    着物がトレードマークのグラフィックデザイナー
    何をしているのやら・・恥をかくのも仕事です。
    今年はまた本を1冊・・なんてふとどきなことも。
    そうそう早稲田大学のモグリの学生まだやっています。今年で5年目 に入ります。

 今年は何やら面白そうなのです。
 元旦から6日まで誰も見ないだろうMXテレビ(東京メトロポリタンテレビ )で着物談義。
 ちょっと大がかりな出版記念会の司会。
 何でこうなるの まあいいかと ひきうけています。 はやし

その林佳恵さんの東京支部長を引き受ける顛末を紹介した記事が毎日新聞に掲 載されている。

酒、音、富山の日々と題され、樽たる倶楽部ほろ酔い交流記として林さんが紹介している
 ときどき山を下りて東京に出てきては年増のトラと酒くみ交わす富山の酒呑 童子がいる。高じて自分の田で酒米をつくり、あげて地元の酒蔵と組んで会員制 の酒とり応援団「樽たる倶楽部」まで組織してしまった。 富山県小矢部市の農 業、前田正稔さんである。年増のトラはかくゆう私。樽たる倶楽部東京支部長を 命じられてしまった。営業と広報が役目。売り物は前田氏丹精の有機栽培による 酒米を原料に黒田酒造・黒田順郎さんの入魂「萬歳北一 醇」である。同郷のよ しみなどという狭い了見で動くのではない。日本の農業を背負って立つとゆう意 気に感じたからである。

「農に吹く新しい風」(家の光協会刊)では全国の若手農業者一五人が熱いメッセージを消費者に送 っているが、前田氏もその一人である。樽たる倶楽部は東京の消費者とのつなが りを求め、各種のイベントを行っている。五月二七日には田植えツアーを行った 。私も山田錦の田の補植に入った。腰にかごを下げ、泥に足をすくわれながら必 死の手植えだった。来年の酒は格別の味になるに違いない。(毎日新聞九三年九 月9日)

かれこれ十年前、林さんは宣言した。もう着物にするの!そして着物一辺倒の生活になった。仕事の時でもである。「サラリーマンの背 広姿に憧れて」 制服に、と言ってもいい。「型が決まっていて、首から下が同 じだと、顔や性格の違いがよくわかりますでしょう?洋服だと、自分でもびっく りするほど、スタイルによってその日その日、顔が違うじゃないですか。それが 嫌になったの」職業のせいもあった。逆説的だが。「私、美大で出なく、国文だ ったんで、デザイナーらしくないと自分で思っていたのかもしれない。自信がな かったから、とっかえひっかえ着ていました。」 デザイナーらしく見える服を 。
その時を思えば今は、楽だ。もう着物にする!それが正解だったのか、間違いのもとだったかはわかりませ んけど。「版下作る時も、たすきがけもしないし。そこまでは予想はしなかった のです。でも、着物って何でも出来るのです。電車にも走って駆け込めるし、新 宿で飲んでからバッティングセンターに行くと、当たるんですよ。!」 腰もピ ンとして、力をこめるべきところに、ちゃんと力がこもる。「身体の調子もいい んです。引越で1カ月2カ月、洋服を着ていたら、冷えちゃうんです。女の人の 大事なところを、きものはちゃんと暖めてくれるじゃないかな。足袋もツボを刺 激するし。」
 男の背広がイメージのものだから、着る着物は無地か縞か格子である。「私 は一応、横文字商売ですから、軽くしたいというのもあるんですよね。変に生々 しくしたくないんです。髪も結う上げたら、もう大変ですよね。ツルツルのイガ グリ頭みたいにできればいいなと思っているんですけどね。」 半衿は白、バッ グも洋服でも持てるようなもの、傘ももちろん洋傘だ。「決めすぎは恥ずかしい 。背広はネクタイで個性を出すでしょう。着物だと、それが帯なんです。着物は ね、帯が安ければ、一枚の着物が三通りぐらいに着れちゃうんです。」 帯は高 い。職人技がこめられていたりして、むしろ着物より高い。「今日、私が締めて いるのがサッカー、洋服地です。池袋のキンカ堂でメーター五〇〇円かな。大好 きなのがワニの絵の帯なんですけど、それはベットカバーでした。泥染めの大島 とかに合うんです。ワニは泥の中に棲んでいるから」なぁんて楽しみつつ、これ はと思う布を見つけては、仕立ててもらう。「子どもたちの父親のお母さんに」  つまり、元・姑。強い味方もいて、大安心。「ただ、着物姿だと仕事なのに、 仕事で来ていると相手におもわれないってことはありますね。飲みに行っても、 ママ、今日はお店暇なの?って、言われたり。誰もデザイナーとは思わない。へ へへですね。」クロワッサン九五年八月二五日号



酒好きもんの秘密結社